「人生は成功するためにあるんじゃない。ただ生きろ。それだけで苦しい。 苦しい苦しいって言いながら、それでも生きる。それでいいんだ。それが生きるってことだ」
渋谷代官山にある老舗劇場、“シアター浪漫 City”。
2020 年 3 月。新型コロナウィルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言発令により、
予定されていた公演『渋谷行進曲』が初日目前に中止となった。
すでに劇場にはセットが立てられ、出演者、スタッフはみんなリハーサルの真っ最中。
「仕方ない、こういうご時世だ」
誰もが口を揃えて劇場から立ち去ろうとする中、
ただ一人、劇場から動かず奮闘する男がいた。その男の口癖はこうだった。
「もし今夜世界が終わるなら、俺はどうしたい?」
それぞれの思惑がぶつかり、行き詰まり、爆発し、やがて誰もいない劇場のステージにスポットライトが当たる。
これは、パンデミックのさなかの劇場を舞台にした3日間の物語。
見たことも聞いたこともない未知の脅威と制約された社会の中で、目にも見えず、音もなく静かに横たわる恐怖。
今までとは違う、すっかり変わってしまった日常。自分の人生。変わっていく環境にうまく適応できず、心と体を病んでいく人々。壊れていく関係。
だが新しく芽生える繋がりも確かにある。破壊の後、再生は必ず起こる。
人が生きるということはどういうことなんだろう。
人の幸せとは、なんなのか。
そんな根本的な疑問を考えたかもしれない、または何も考えなかったかもしれない名もなき人々の、
劇場を舞台にした人生の縮図
生きろ!!
愛すべき偽善者ども